Some say love, it is a river.

   やさしさを 押し流す
   愛 それは川
   魂を 切り裂く
   愛 それはナイフ
   とめどない 渇きが
   愛だと いうけれど
   愛は花 生命の花
   きみは その種子

   挫けるのを 恐れて
   躍らない きみのこころ
   醒めるのを 恐れて
   チャンス逃がす きみの夢
   奪われるのが 嫌さに
   与えない こころ
   死ぬのを 恐れて
   生きることが 出来ない

   長い夜 ただひとり
   遠い道 ただひとり
   愛なんて 来やしない
   そう おもうときには
   思いだしてごらん 冬
   雪に 埋もれていても
   種子は春 おひさまの
   愛で 花ひらく

<引用:高畑勲訳詞『愛は花、君はその種子』歌詞>

これは、ベッドミドラーが歌った「the rose」をジブリの高畑勲しが和訳したものです。
世界中を襲ったウイルスが人々を傷つけ、生活を過酷なものにしたこのごろ。想像もつかないダメージと予想のつかない明日。人々はますます排他的になり寛容さを失いつつあります。自己の都合を優先し困っている人、弱い立場にある人を容赦なく傷つけます。こんな時代だからこそこの詩が心に沁みます。

100万人を超える難民を自国に受け入れようとしたアンゲラ・メルケル氏が政界を去ります。今の世の中で最高の政治家が去ります。ぶれない姿勢が難民を受け入れることを許せない国民をより排他的にしたような感があります。先進国の中で我が国は桁外れに難民を受け入れていません。自国に戻れば生命の危機にさらされる可能性のある人を一律に帰国させています。他者の困難な状況に目も向けない国が先進国と思い込むのは甚だ恥ずかしいことです。もちろん一時的な混乱は否めないと思いますが、どんどん人口が減ってゆく日本の将来は先細るばかりです。彼らにも安心して暮らしていけるような環境と日本人と対等な労働賃金を提供できるようになれば、彼らの犯罪も激減するはずです。犯罪、内紛、戦争の根源は貧困です。宗教や民族は自分との違いを言い訳にして、隠れ蓑にしているにすぎずこれが原因ではないでしょう。

コロナの闇の少し先に光が見えてきたような。酒類の提供が制約はあるものの緩和されました。世界中がこの闇から抜け出すことができれば、コロナに勝利する日が来れば、自他なく世界市民の勝利です。いかなる立場の人にとっても勝利の喜びは等しく共有できるはず。先の見えない闇によって加速された不寛容にブレーキがかかればいいですね。

   
   種子は春 おひさまの
   愛で 花ひらく